オトナのモノゴコロ「槙田商店の傘」

2014/05/23カルチャーオトナのモノゴコロ
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日本のモノづくりに精通するブランドプロデューサー 杉原広宣さんがこだわりのモノづくりをしている商品のコラムをお届けします。

槙田商店の傘

先日、傘を直してもらった。強風のなかで使っていたら、骨が折れてしまったからである。
私の傘は、富士山のふもとで約150年続く傘メーカー・槙田商店さんのもの。外側は真っ黒で、内側は青や緑のストライプが入っていて、その内側だけに柄が入っているのがお気に入りだ。
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槙田商店の傘は、生地が美しい。それもそのはずで、先に傘メーカーと紹介したけれど、もともとは甲斐絹(かいき)という江戸時代に着物の羽織の裏地用に絹の生地を織っていたのが、その始まり。生活様式の移り変わりとともにその用途を変え、戦後に傘の生地を作り始めて現在に至っている。その6代目・槙田洋一くんが自社の名を冠した傘を3年前から手掛けていて、私が初めて見たのは、ちょうどその1年目のお披露目の展示会。そこには、色鮮やかな外側のオレンジと内側のグリーンのコントラストがまぶしい2重構造の傘が飾られていた。普通の1枚の生地では見えない角度から内側の生地が見えるのがサプライズで、思わず嬉しくなってしまったのを、今も覚えている。それからのお付き合いで、槙田商店の傘を使うようになった。
「傘に裏は作りたくないんですよ。」と、いつもおしゃれなネクタイをしている槙田くんはポツリと言うが、確かに、使う本人からすれば傘の内側は表になる。ただでさえ憂鬱な雨の日の外出のとき、内側がお気に入りの柄だったら、その憂鬱な気分が少しは晴れる。

去年の夏には、レディースの洋服にも使える個性的な生地やUVカットの機能的な生地などさまざま10種類の生地を縫い合わせた、その名も「モザイク」という日傘を発表した。これは今、世界で一番目立つ日傘じゃないかなと思うほど、斬新。使う本人だけでなく、それを街で見かけたら、その人までワクワクするような傘だ。
雨にしても日差しにしても、それを身体から避ければ果たせるけれど、槙田商店の傘は気持ちからも避けてくれる。「機能だけを追求していくと、どうしてもつまらなくなっちゃうんですよね。生地屋だから、生地を活かして雨も日差しも楽しくなるような傘を作ろうと思って。」私は、この槙田くんの想いで作られた傘で、雨の日も気分よく過ごせるなと感じている。ただ、強風の日は、要注意!

株式会社 槙田商店 URL http://www.makita-1866.jp/

 

PROFILE | プロフィール


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杉原 広宣(スギハラヒロノブ)

1972年埼玉県生まれ。株式会社スカイ・モーション代表取締役。
伝統工芸品や生活用品のショールーム「Japan creation space monova」を運営するかたわら、日本各地でモノづくりの相談にのり、企画、デザイン、ブランディング、イベントプロデュースなど幅広い分野で活躍中。

Japan creation space monova
URL http://www.monova-web.jp/


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