オトナのモノゴコロ「奥順のショール」

2014/01/30カルチャーオトナのモノゴコロ
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冬の風が冷たい永田町の夜に購入した黒いショール。もうあれから5年が経つ。
第2回目の今回は、茨城県の結城市にある結城紬の歴史ある問屋、奥順さんのショールの話しをしたい。

結城紬は、2010年にユネスコ無形文化遺産にも登録されたことからもわかるように、世界的に希有な文化と技術を持っている絹織物。その結城紬を扱う奥順さんは100年以上の歴史を持ち、変わらぬこだわりを持って今なおチャレンジをし続けている。この結城市にある奥順さんの敷地内には、蔵を改造したカフェあり、体験工房あり、歴史が辿れるミニ博物館あり、ショップありと、まるでテーマパークのようだ。なかでも、私はそこにある庭が好みで、同じ敷地内にある日本家屋の畳間から庭を眺めて過ごした時間は今も忘れられず、思い出すと胸が熱くなるほどの素敵な景色。観光スポットとしても申し分のない、是非おススメしたい場所の一つだ。
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ご縁あって、何度か結城紬の工程を見させてもらったことがある。蚕の繭から一本の糸を紡いでいくまでもが一苦労。それを染める準備をするのにまた苦労。染めて苦労。織るどころか織る準備をするのにまた苦労。そして手織り。私には苦労としか写らなかった動作の連続に、久しぶりに「人間、辛抱だ。」と小さい頃に聞いた言葉を思い出す、、、なんてことはなかったけれど、とにかく辛抱がないとこのモノづくりは出来ないんだな、と心底、思えた。

そんな結城紬は着物の高級生地としてとても有名だが、奥順さんはショールを5年前から手掛け始めていた。私が持っているのはざっくりした風合いの大きなショールで、それは製品発表展示会の打ち上げを兼ねて、永田町で奥順さんのスタッフみんなで食事をした帰り、あまりの寒さに急遽、スタッフが持っていた新作のそれをその場で譲ってもらって帰ったときのもの。

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そして、その冬からこのショールを使ってもう5年になる。
とにかく暖かくて、首に巻くのはもちろん、肩にふわっと羽織ってもいいし、膝掛けにしてもいいし、出張の多い私は行く先々で気温が違いすぎることがたまにあって、その変化に対応できるこのショールをとても重宝している。コートの代わりにもなるから、結果、身軽になれるのも嬉しい。 そう言えば、仕事が残業続きで帰れなくて、事務所で毛布代わりに掛けて寝たこともあった。「あの辛抱に比べたら!」とまではやっぱり思わないけど、でもなんだか気持ちまで暖かくなって寝たんだよな。

奥順「つむぎの館」 URL http://www.yukitumugi.co.jp

 

PROFILE | プロフィール


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杉原 広宣(スギハラヒロノブ)

1972年埼玉県生まれ。株式会社スカイ・モーション代表取締役。
伝統工芸品や生活用品のショールーム「Japan creation space monova」を運営するかたわら、日本各地でモノづくりの相談にのり、企画、デザイン、ブランディング、イベントプロデュースなど幅広い分野で活躍中。

Japan creation space monova
URL http://www.monova-web.jp/


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